ブックハンティング(リクエスト) ★学生が選んだオススメ本★
since Sep.2009
リクエストした学生には読書後に簡単な書評・紹介文を書いてもらうようにしています。この文章が他の学生たちの読書案内にもなり、多くの学生が恩恵を受けられることを期待します。 図書のタイトルをクリックすると配架場所や貸出情報が確認できます。
2012年度以降のリクエスト書評はこちら 

リクエスト書評(2009年度〜2011年度)


★文学・文芸書系

新TOEICテストにでる順英単語 : CD版 / 河上源一編 電子制御工学科4年 2012年4月18日
 この教材は、同出版社の「新TOEICテストにでる順英単語」のCD版です。単語集に収録されている単語を音声で学ぶことができます。
英単語→日本語訳→例文といった順に収録されているので、単語の使い方も同時に学ぶことができます。
また、1つの単語に複数の意味がある場合も、それぞれに対応した音声が収録されているので、応用性が高い教材だと思います。
3000単語超というのは、膨大な単語数ですので、中には発音のわからない単語も多々あります。
そんな時に、このCDを用いることで、こんな悩みを瞬時に解決してくれるのです。
私は、文字を読むだけだと飽きてしまい身につかない人なので、このCDを単語学習の気分転換にも使っています。
「新TOEICテストにでる順英単語」、この単語集を持っている人にはおすすめのCDですので、持っている方は一度借りてみるのもよいかと思います。
 
「しつこい怒り」が消えてなくなる本 / 石原加受子著 電気電子工学工学科5年 2012年4月15日
  しつこい怒りを感じる機会は誰にでもあると思います。
この本は、そんな「怒り」の解決法を提案しています。特に第4章からは、会話形式の具体例と共に、「怒り」の解消法が紹介されていますが、
いくつかの例では、非実用的だと言わざるを得ないものがあります。
ただ、全体を通した内容は一貫して「自分を愛する」というものであり、十分に実行可能なものです。
とりあえず、怒りの解消法を試してみたいという方は、4章から読むことをお勧めします。
 
人道的帝国主義 : 民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像 / ジャン・ブリクモン [著] ; 菊地昌実訳 電気電子工学工学科5年
2012年4月15日
 ベトナム戦争を二十世紀の大犯罪の始まりと断罪し、アメリカの民主主義者をリベラルな帝国主義者と切り捨てる。
内容を全て理解するには相当な予備知識が必要である。
 著者の主張は、一貫して「現実主義」である。表面上は上手く行っている内政も、慢性的な負債に依存したモデル(=今の日本に近い)からは脱却し、
労働者、子供等の弱者に必要なものを第一に考える。
最終的には、ヨーロッパの生んだシステム「啓蒙思想」「政教分離」「入念に仕上げられた社会モデル」と結んでいる。
 
日本でいちばん大切にしたい会社 / 坂本光司著 電子制御工学科5年 2012年3月12日
 就職するときに企業についてすごくしっかり調べたくなる1冊です。
 企業にとってお金を稼ぐことは非常に重要だと思います。
しかし、各企業はそれぞれの企業理念を持っており、その企業理念に対して企業を運営しています。
そして、その中でも著者が選ぶ素晴らしい企業理念を持ち、それを見事実践している企業の紹介がされています。
就活前の準備期間や就活について何もわからない時にぜひ読んで欲しいです。
負けない自分になるための32のリーダーの習慣 / 澤穂希著 電子制御工学科5年 2012年3月12日
 アジア人史上初のFIFA最優秀選手賞受賞者の沢穂希が著書として書いている本であり、
なでしこを世界一に輝かせたリーダーとして大事にしたことに関して書かれている本です。
 寮生会や部活等でリーダーになったが、リーダーって難しいなぁって思う人にぜひ読んで欲しい本です。
これからの「正義」の話をしよう : いまを生き延びるための哲学 / マイケル・サンデル著 ; 鬼澤忍訳 電子制御工学科5年 2012年3月12日
 ハーバード大学の教授であるマイケル・サンデルが正義について深く考えた本です。
正義を考える上で根本的な人の大事にしている考え方の代表例からアプローチしています。
複数の問題に関して正義について考えていますが、
例えば「潜入ミッション中のアメリカ兵が一般人に見つかったときに一般人をどうするべきか」等の問題に対して正義を考えています。
自分の考えをもっと深めたいと感じたときにぜひ読んで欲しい本です。
行動分析学で社員のやる気を引き出す技術 / 舞田竜宣著 物質工学科年 2012年2月22日
 企業家、目指している方以外にも本書が役立つのではないでしょうか。
本書は、人の使い方が丁寧に書かれています。
行動分析学とはどういったものだと思いますか。働くために必要なものとはなんであるか、
目的を充たす為にはどのようなステップを踏めば良いか、
または部下にどのようなステップを踏ませるのかが書かれている。
例えば、何かを達成するごとにお祝いを行い、部下のやる気の継続を行う。
また、人に行動して貰いたい時には、言語的指示、モデリーグ、身体的誘導の三種類が必要とされ、
本書にはその三種類の使い方、身に着け方が丁寧に載っている。
簡単に紹介すると、適格な指示を出し、人の見本となるような行動をとり、言葉でできないようであれば直接教えるということである。
著者は東京大学経済学を卒業した方であり、現在は株式会社代表取締役である。
なので、本書に書かれていることは実用的なものが多い。
一度、手に取ってみることをお勧めする。
ほんとうに使える論理思考の技術 / 木田知廣著 物質工学科年 2012年2月22日

  私は論理思考が苦手です。なぜなら、うまく実用することができないからです。
時たま、論理思考が必要なのかどうか迷ってしまう時もあります。
本書はその論理思考の使い方が丁寧に書かれています。
例えば、主張に応じていくつかの根拠が存在しますが、その根拠が似たようなものでないか、根拠が主張となっていないかの見つけ方、根拠の本質が詳しく書かれています。
 さて、説得する時にこの論理思考を使うことが多いと思われます。
しかし、論理思考のみでは説得することが難しいのではないでしょうか。説得を論理思考+心理にしてみたらどうでしょう。
看破できない言葉と惹きつける言葉をうまく運用することができれば説得は必ずうまくいきます。
本書の後半部分、その運用の仕方が掲載されています。
 一度、本書を手にとってみてはどうでしょうか。説得力が上昇すると思いますよ。

采配 / 落合博満著 電気電子工学科年 2012年2月7

勝負の世界、俺流、監督 落合博満が何を考え、どんな決断をしたのか、
何であのような采配になったのか本当興味深く、読みました。ビジネス、社会活動、生活等にも大いに参考になる本です。

落合選手として「三冠王」、監督として「俺流」などが代名詞で語られるので独自理論的な内容かと思いきや、
決してそうではなかったという驚きを感じました。

野球が好きな人もそうでない人も読んで面白い本です。


この世で一番おもしろいミクロ経済学 : 誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講 / ヨラム・バウマン著 ; 山形浩生訳 電気電子工学科4年 2012年21
普通の高専生であれば、経済学に関する知識は一般的なレベルか、それ以下かと思われます。
この本は、ミクロ経済学をマンガを交えて紹介しています。
ただ、専門用語が最初から出てくるので、苦戦してしまうかもしれません。索引を見ながら読み進めていくといいと思います。
また、パレート効率の項を最初に読むと、全体の流れを掴みやすくなると思います。
技術系だけでなく、広い視野を持った学生になってください。

死ねばいいのに / 京極夏彦著 物質工学科3年 2011年1214
青年は囁く。
――死ねばいいのに。
私には青年は悪魔の使いに見えた。心をズタズタにした後にこの言葉は重く心に
圧し掛かる。
 青年は六人に囁く。六人はどのように受け止めていくのか。
――亜佐美が死んだのはショックだったな。
 一人目は中小企業の会社員。
――亜佐美ちゃんのカレシよね。
 二人目は隣人。
――亜佐美が何だよ。
 三人目はヤクザ。
――亜佐美が何だって言うのさ。
 四人目は母親。
――鹿島亜佐美さん殺害事件に就いての捜査協力ということで宜しいですか。
 五人目は刑事。
――鹿島亜佐美さんとの関係に就いてですけれど。
 六人目は弁護士。
「亜佐美」というのはどういう人なのだろうか。青年との関係は。
最後まで謎を残すこの本を読み終わった後に人生について考えてみるのもいいか
もしれません。
マイ・ブルー・ヘブン / 小路幸也著 電子制御工学科2年 2011年3月22
 この本は、東京バンドワゴンシリーズの第4作目で、本編で登場する堀田サチと勘一の若いころを描く番外編です。サチは政治に関わる重要な書類を父から託され浜松まで行くように命じられます。しかし、上野駅に行く途中、アメリカ人に襲われてしまいます。そんなサチを助けたのが勘一でした。勘一は父の草一と相談してサチをかくまうことにしました。本編とは違い、この一つの出来事を描いたのがこの「マイブルーヘブン」です。この作品は、本編の特徴であるドタバタでミステリアスな要素もあり、追ってから逃れなければいけない緊張もあるとても読んでて興奮する作品だと思います。
 また、この物語の特徴はサチの周りの人が皆よい人だということだと思います。普通、会ったばかりのサチを命をかけて助けることができるでしょうか。すべての人がそのようなことは考えられないと思います。しかし、この人たちはそれができるのです。「ありえない」そう思う人もたくさんいると思います。しかし、たまには人の醜さのない人情味だらけのそんな作品を読んでみてはどうでしょうか。
 オール・マイ・ラビング / 小路幸也著
電子制御工学科2年 2011年3月22
 この本は、東京バンドワゴンシリーズの第5作目です。この物語は東京バンドワゴンという堀田家が営む古本屋で繰り広げられる数々の謎や事件を解決していく推理小説です。しかし、よくある推理小説のような緊迫した雰囲気はなく、堀田家の日常を描いていてどこか温かみのある作品だと思います。今作「オールマイラビング」では、東京バンドワゴンの存続にかかわる問題が起こってしまいます。また、前作以上に親子、家族の絆というものを感じさせてくれる作品だと思います。とてもおもしろく、感動する話だと思いますので是非読んでみてください。 家族とはなにか、人としてどうあるべきかなど、道徳的なものをいろいろ教えてくれると思います。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう : あなたの5つの強みを見出し、活かす / マーカス・バッキンガム, ドナルド・O.クリフトン著 ; 田口俊樹訳  電子制御工学科4年 2011年225

 自分に才能なんかない!そんな風に思っている人に読んでほしい本です。人それぞれ才能はあります。その才能にきづくことができるかどうかで道が変わる。そんな風に考えさせてくれる本です。就職や進学でエントリーシートに自分の長所が書けなく困っている人が読むことでそんな悩みをなくすことができるかもしれません。ぜひ読んでみてください。国語の大石先生おすすめの本です。



 「カタリバ」という授業 : 社会起業家と学生が生み出す"つながりづくり"の場としくみ / 上阪徹著 
電子制御工学科4年 2011年225

 沼津高専電子制御工学科の青木先生が立ち上げメンバーであり現在4000人を超えるNPOであるNPOカタリバの活動内容等が書かれています。NPOカタリバをは主に高校生を前に向かせるために高校で授業をしている団体です。将来が不安て希望を持ちたい人、また社会起業、NPOに興味がある人ににすごくお薦めできる本です。ぜひ読んでください。


ハーバードの人生を変える授業 / タル・ベン・シャハー著 ; 成瀬まゆみ訳  電子制御工学科4年 2011年225

 なんにもやりたくない。そんなときがときどきありませんか?この本は人生でなにが重要なのかを説いています。今までの自分を変えて新しい人生を歩みたい人、最近ちょっとやる気がでない人にはすごくいい本です。ぜひ読んでください。


NASAより宇宙に近い町工場 : 僕らのロケットが飛んだ / 植松努〔著〕  電子制御工学科4年 2011年215

 高校で赤点の帝王と言われていた作者の植松努さんは昨年度日本中で1年間に300回を超える講演を行いました。植松努さんが代表取締役を務める植松電機は20人の企業でありながらたくさんの人に夢を与えるためにロケットの開発・人工衛星の開発を行っています。「NASAより宇宙に近い町工場」は自分の未来に夢や希望を持つことができる本です。「どうせ無理」という言葉を使わずに前向きに生きる気持ちにしてくれる本です。ぜひ、1度読んでみてください。


捕手論 / 織田淳太郎著  機械工学科4年 2011年210

 捕手とは野球のキャッチャーのことである。この本はキャッチャーがどうあるべきかについて書かれている。昔の試合など数々の事例を挙げて丁寧に解説していく。野球を知らない人にはわかりにくいかもしれないが、いつも注目を浴びるのはピッチャーとバッターである。投手VS打者というイメージがあるかもしれないが、見方を変えれば捕手VS打者ということにもなる。今までと違った野球の見方を教えてくれる一冊である。


フルタの方程式 / 古田敦也著  機械工学科4年 2011年210

 この本は野球のキャッチャーについて古田が著したものである。古田とは現役時代ヤクルトに所属していて「日本一のキャッチャー」として有名である。また打撃面でも2000本安打を達成していう実力の持ち主である。その古田が実体験を基にしてキャッチャーについて語る。野球を知らない人でも気軽に読むことができ、野球を知っている人も考え方が変えられる一冊である。



天地明察 / 沖方丁著  物質工学科5年 2010年830

 この『天地明察』ひとえに熱い作品だと思いました。主人公は碁打ちで在りながら、日本初の国産暦を開発し江戸幕府初代天文方に就任した安井算哲こと渋川晴海。歴史上に実在した人物です。他にも、本因坊道策、水戸光圀、徳川綱吉など歴史上名高い人物たちが登場するノンフィクションに近い作品です。一人一人の、一つ一つの言葉がとても真剣で熱く。改暦という一代事業に命をかけた人々の20年間に渡る思いが伝わってきました。2010年の本屋大賞にふさわしい作品だと思います。ぜひ、多くの人に読んでもらいたいです。



完全なる経営 / A.H.マズロー著  物質工学科5年 2010年625

 
 A.
マズローは人間性心理学の重要な生みの親とされています。人間性心理学は心の健康についての心理学を目指すものです。これは、人間の自己実現を研究するものです。よく私たちは教科書や演説の中で自己実現という言葉を聞きますが、この言葉の本当の意味で理解している人は少ないと思います。また、彼は人間の欲求の階層を主張した事でよく知られています。この考え方はすべての人が自己実現できるわけではないと主張しています。説明はとても長文となってしまうので省かせていただきますが、この本を見れば納得することができると思います。
 彼は心理学者の立場から経営学をみるということをこの本ではしています。そのため、ほかの本にはない独特な本となっており大変興味深い本となっています。もし、少しでも興味があれば一度見ることをお勧めします。



SLAM DUNK(1-10巻) / Takehiko Inoue  電子制御工学科4年 2010年622


 言わずとも知れた有名漫画であるスラムダンクの英語版である。スラムダンクが好きな人ならば英語が嫌いであっても凄く楽しく読める。今図書館には1〜10巻まで入っている。英語を英語のまま理解するいい練習になると思う。また多読はやるたいけど絵本は嫌だと思う人にもとても良い本である。ぜひ読んでみて下さい。




ソングライン / ブルース・チャットウィン著, 北田絵里子訳  専攻科 2年 2010年611


「ノートをとってもいいかな」僕は尋ねた
「どうぞ」
僕はポケットから、ゴムバンド付きの黒いオイルクロス張りのノートを取り出した。
「いいノートだ」アルカジーが言った。
「いつも パリで買っていたんだ」僕は言った。

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僕はシャワーを浴びて荷物をまとめた。
山ほどある古い黒いノートをカバンに詰め込んだ。
内容は、ほとんど判読不可能な走り書きや"思索"、メモ、引用、簡単な友好記録、旅日記、創作材料などの寄せ集めだった。
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あるだけの鉛筆をタンブラーに差し、スイスアーミーナイフをその横に置いた。それから、一仕事はじめるときにかならずするように、愛用の"パリ"のノートを、整然と三つの山に積み上げた。
中略
パスポートを無くしたところで、それほどうろたえることもない。
だが、ノートを無くしたとなれば、それは一大事だった。
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 チャットウィンはとても様々な顔を持った人物でした。
【美術品専門の貿易商】【考古学専攻の大学生】【ニューヨークタイムスの記者】【旅行人】
そんな彼は、ノートを常に持ち歩く人でした。冒頭の文章はこの本に出てくるノートの記述です。いつもノートを持ち歩き、思いを書きとめ、何かする時にはかならずそばにそれを置いたこの本も中盤から彼が書いたノートによって話が進んでいきます。そこには、20年余りにわたって旅したチャットウィンが
『体験したこと』『心に残った言葉』『散文や詩の一節』
などがつづられた内容が実に様々です
『定住と放浪』『歩くこと』『道と巡礼』『砂漠』『遊牧』『言語』
一見関係ないように見えるけれど、彼はこれらから“人はなぜ放浪するのか“と言う「想い」に対する答えを探していました。
この本の舞台、「オーストラリア」先祖がつくった世界を全力で守るアボリジニたちの世界です。彼はそんなオーストラリアを旅しながら「想い」に対する答えを探します。

 


心の分析 / B,ラッセル著 竹尾治一郎訳
機械工学科1年 2010年67

 
 一般にこの本や作者には、様々な受けるべき正当な評価があると思われます。例えば、論理的であるとか、ノーベル文学賞をとっているとか、画期的であるとか、そういうことです。
しかし、僕はそういったものは実際に読めばいくらでも伝わるものであり、興味を持って調べれば出てくるものであるため、自分の主観的個人的感想を書きたいと思います。同じ著作である"懐疑論集"を読み、この"心の分析"を読んでからより精巧な"人間の知識"を借りて読むことをお薦めします。
 この本は、物理学と心理学の統一化、中性一元論というものを説いています。よく喩えとして用いられるのが、電話帳で個人情報がアルファベット順に並べられるのか、住所順に並べられるのか、というフレーズです。つまり、物理学と心理学は二つのもの、ずばり心と物質とは二つのものではなく、中性的な素材を別のパターンに並べ換えたに過ぎないものであるということです。ようは心と物は相反するものである、という常識を払います。常識が正しい保証はありません。そして、この本に述べられている論は観察と論理に基づくものです。信用に足るということです。論理、観察に基づくならば発見であり、発明にはならないはずです。画期的な論ですが、便利だからとか、そう思ったからとか、自分が述べたいことに必要性があるから、等という理由で成り立っていません。ただ真実を探求した結果そこにある、数学的な発見なのです。そこには自分の述べたいことを正統化しようとして証拠を持ってくることと、白紙の人間が観察して得た事柄を記述していく差があります。前者は無益ですが、後者は必然的に物事の法則性や推論が生まれてきます。僕はかねがね高専生が頭脳明晰であるのに、世の常に沿って前者側も多いので、残念に思っていました。そんな個人的な理由から勧めます。しかし、ちゃんとした読むべき理由もあります。読めば分かります。彼は懐疑論者です。だからここまで精緻精巧な論を為せるのです。社会的に意味があるかと聞かれたら意味が無いから無価値であり、真でないと決め付けるなという話ですし、彼の論を読めば自ずと思考の誤りに気付くという益も得られるはずです。ですから、彼のこの本を強くお薦めします。
 普通だの、常識だのという詭弁が押しとおる世の中ですし、全人とは処世術的な意味も含む為に常識的な人を指すものです。しかし、相手が共産党というだけで殺してもよく、おまけに自国の学徒にそれを誉め讃える作文を書け、等という常識の国もありました。神州日本です。常識とは時と場所によって違うのでいち早く適応できる人間を全人といいます。帝王学も全人教育ですが、あれは理想論ではありませんので省きます。高専生にそれは求められていません。普通や常識にないだけで劣っている、間違っている、異常である、と言われる世の中です。今一度自分の常識を見直してみたらどうでしょう? よく言われるのは精神異常者の社会にいけば普通の人は異常だということです。それどころか些か常識的過ぎる人間はこの世の中でも精神異常の烙印を押されます。
真実と本来の自分を見直してみませんか?

貴方の心の分析、してみませんか?



別冊図書館戦争I・II / 有川浩著  電子制御工学科2年 2010年510
 メディア良化法という、表向きには世の中を良くするための法律が制定されました。良化法とは、良くない。とみなされた単語が一つでも入っている図書を検閲対象とし、「狩る」ことができる法律です。どこに問題があるのか。と思うかもしれませんが、このシリーズを読んでくれたらその訳がはっきりと分かります。
 さて、読みたい本を読むことができない世の中で、ある組織が立ち上がります。それが「図書館」でした。図書館では、良化法に反発するように、図書館内の蔵書を自由に決め、それを守る権利、図書館法が制定されたのです。その2つの法律を理由に、良化法と図書館との間で本を巡る攻防が繰り広げられる。これがいわゆる図書館戦争です。
 あり得ないようでありそうな世の中で、個性的な登場人物たちが、色々と勝手な行動を起こしていきます。彼らと共感できる想いが多々あり、涙あり笑いありの図書好きにはたまらないストーリ展開です。



悪童日記 / アゴタ・クリフトス著 堀茂樹訳  電子制御工学科2年 2010年331


とにかく色々と刺激的な話です。

 この物語は、第二次世界大戦中のハンガリーを舞台としたある双子の話です。
戦時中という暗い世の中で「ぼくら」はどのように生き抜いてゆくか、というものが描かれています。
 物語は日記調で感情もなく淡々と語られていきます。感情がないので、読者は登場人物たちの考えに流されることなく本を読み進めることができ、同時に主人公の双子の行動一つ一つの意図を読み解いていかなければなりません。
時代背景などはシリアスなのですが、読んでいてそこまで悲しくなるような内容ではありません。双子のやることのほとんどが痛快で、読んでいて感心してしまうほどです。
 “生きる”ということはこんなにも大変なのか、ということを実感させられる一冊です。



ファミリーツリー / 小川糸著 物質工学科4年 2010年32


 話は僕であるリュウと,多少血の繋がりのあるリリーを巡る話である。穂高で生まれ育ったリュウは,ひいおばあさんである菊さんが営む旅館に住んでいた。1つ学年が上のリリーは夏休みになるとやってきて,ひと夏を過ごす存在だった。次第に2人は惹かれあうが,リュウが上京して付き合いだすと,リュウの人生で影を落としてきた火事の一件が原因で上手くいかなくなってしまう。しかし,ひいおばあさんの菊さん亡くなったことにより2人とも様々な事を見つめ直していく。
この話の中で,2人が局面を迎えた時,常に優しく,そっと見守り続けいた菊さんの存在は,とても大きいと思った。そして,言葉だけでなく,自分の生き方そのもので2人に生きていく上でのアドバイスを伝えていた姿が印象的だった。そして,この本の題名である「ファミリーツリー」は,菊さんから延ばされる家系図と,菊さんが大事にしていた林檎の木を示しているのだと思った。 

食堂かたつむり / 小川糸著 物質工学科4年 2010年32

話は,同棲していたインド人の恋人に,家財道具,貯めていたお金,ちょっとずつ買い集めていた調理器具,さらに今は亡き祖母と一緒につけた梅干しすら持って逃げられてしまい,ショックで声が出なくなってしまった倫子さんが,唯一残った祖母の形見のぬか床だけを抱え,仲が良くない母がいる故郷へ帰り,お客さんは1日1組,何が食べたいか,家族構成などを聞いてメニューを決めるという「食堂かたつむり」を始めるという話です。
この本を読んで思うのは,ごはんが美味しそう,ということです。様々な料理が出てきますが,ひとつひとつの料理について,匂いや口に広がる味などが,丁寧に書かれていて,食べたくなります。また,「ごはんを食べる」ということは,「命を食べる」ということであるであるということを読んでいて強く感じました。ちなみに,この食堂にはモデルになったところがあるそうです。一度行ってみたいと思います。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 / 辻村深月著 物質工学科4年 2010年225

この本を読んだ時,単なるミステリー小説ではなく,日本の女性の生き方そのものについて,深くつきつめられて書かれているものであると感じた。
今年30歳になるみずほの幼なじみ,チエミが母親を殺害,失踪したところから話が始まる。みずほは,東京でフリーライターをしており,この事件を記事にしようと思い,地元・山梨に戻って取材を始める。しかし,自分の結婚,学生時代のことを振り返っていくうちに,次第に(なぜあんなに家族の仲が良かった幼なじみが母を殺害してしまったのか),(なぜ逃げ続けているのか)を純粋に知りたいと思うようになり,事の真相を追っていくという話である。
私が思うに,みずほが本当のことを知りたかったのは,自分の中にもチエミと同じ要素があると分かっており,一歩間違えれば,同じことになっていたかもしれないという思いがあったからだと思う。
そしてこの事件が起こった原因の根本は,女性に求められている「普通」だと思う。結婚・出産をしなければ一人前なったと見てもらえない社会の目−。
本の中に出てくる女性たちの出来事は,程度は違うだろうが,いくら男女雇用機会均等法ができようが,様々な生き方が認められるようになってこようが,全ての女性の身に降りかかることであろう。女性の視点から,様々な出来事が細かく書かれており,女性には年齢は違えど,共感できる部分が多いのではないだろうか。そしてぜひ,男性の人にも,少しでも彼女たちの思いを知ってもらいたい。

線 / 古処誠二著 物質工学科4年 2010年128
この本は第二次世界大戦時のニューギニアで戦争に関わっていた日本兵達の姿を描いた短
編集です。日本兵ひとりひとりの視点から、彼らが体験した戦争 の大局にはおそらく関係しな
いような個人的なできごとが丁寧に描かれています。この本からは戦争の意義や当時の思想
への批判、戦争反対のメッセージなど ではなく、当時の人々は何を思って戦争に参加し、とき
に敵に向かっていったり病気と闘っていたのかが伝わってきます。戦時中に生きていた人々の
ことがより身近に感じられ、彼らの気持ちを想像することができると思います。それにより今まで
とは違う視点で戦争というできごとを捉えられる、そんな小説だと思います。
大人になる前に身につけてほしいこと 機械工学科3年 2009年1225
書いてあることはごく当たり前のこと。この本で新しく知ることは少ない。しかし改めて気づか
されることばかりである。当たり前のことが当たり前にできていないことばかり。中高生に対
して書いてあり、難しいことは何も書いていない。読んでいると共感できることばかりで、すべ
て身につけたいと思えること。大人になる前に是非この本を読んでほしい。きっと自分の理想
の大人になるヒントが見つかるはずだ。
DDD : Decoration Disorder Disconnection / 奈須きのこ著 電気電子工学科4年 2009年1213
"奈須きのこ"と聞いてピンとくる方も多いのではないでしょうか?もしくは『Fate/stay night』
『月姫』あるいは『空の境界』の作者だよと言えば へ〜と頷く方も居ることでしょう。まあ、知ら
ない方は全然知らないでしょうけども。
 彼の作品の特徴はその独特の世界設定と、それを司る型破りな文章にあります。実は上記
三つの彼の作品には共通の世界設定を持っていたのですが、今回推薦文を書かせていただく
DDD』という作品ではまた新たな世界を創造しています。そうはいっても非常に"ナスキノコ臭"
がプンプンする作品です。いやぁ、全くもって読み難い文章ですよ。それは彼の短所でもあるの
ですが、それを長所に変えてしまうのが彼の凄いところ。上手い文章では無くとも、凄く巧い文章なんですよね。

   「それは骨の軋む幽(しず)かな夜。花開くような、美しい命の音。」

上の文は本書が謳う一節ですが、貴方はどのような印象を持たれましたか?
確かに解りにくい不可思議な文章です。でも、不思議な魅力を感じませんか?
ならばきっと貴方も、その特異な文字列で彩られた小説(せかい)に魅了されることでしょう。

禍々しくも美しく綴られたそのせかいの中に、人でありながら、人とはおよそ遠い奇怪なカタチに在る者たち。
そこに描かれる人間の負の感情―絶望 憤怒 恐怖 悲哀
それら錯綜する心理の果てに至る結末。
それが決して救いとは限らないけれど・・・けれどそこにあるのは人としての純粋な感情で、気づけば
私の頬には、涙が伝っていました。
ちなみに全四巻で完結らしいです。ですが三巻の発売日も現時点では未だ不明。いよいよ本境地に
入ろうというところなのに...
最後にこの作品を楽しむうえで重要なことを一つ。
 大変難解な作品ではあるのですが、あんまり読者が捻くれて読むと、文章自体が捻くれていますから、
反りが合わずに共感できないことがあるかも知れません。むしろ反りを合わせてあげることが大切ですかね。
独創的な世界観と、斬新な登場人物たち。そうして紡がれる物語は、他では味わえないものです。

新世界より / 貴志祐介著 物質工学科4年 2009年1023

貴志祐介の「新世界より」は「呪力」と呼ばれるサイコキネシス(PK)のような力を持った今
から1000年後の人間の話です.著者が20年かけて書いたというだけあって,世界観がとても
リアルでSFというジャンルを敬遠しがちな人でも十分に楽しめるはずです.貴志祐介の作品
は,心理描写が細かくリアルなのが特徴です.PKという漫画のような設定のはずなのに,主人
公の悩みや葛藤が現実の世界にも当てはめて考えることができます.SFということもあり「専門
用語」的なものもいくつかありますが,その一言一言に明確な成り立ちやちょっとしたエピソード
があり,全く苦になりません.2冊で1000ページ程という長さにうんざりするかもしれませんが,
「ミノシロモドキ」に出会うころには止まらなくなると思います.SFが好きな人も嫌いな人にも,
貴志祐介が好きな人も嫌いな人にもぜひ読んでもらいたい一冊です.

ギルガメシュ叙事詩 機械工学科1年 2009年924

僕がこの物語を読むきっかけは、最古の文学作品を読もうと思った為です。何故それを知ったかといえば、Wikipedia
で適当に検索をかけてネットサーフィンしてたからでした。
 この物語は、ギルガメシュという実在の王をモチーフにした英雄物語で、当時のギルガメシュ王の人気の高さを物語って
います。伝説化された王です。ギルガメシュ、あるいはギルガメッシュの名は、現代ではゲームやアニメのキャラクターで
使われており、妙に馴染み深い人もいるのではないでしょうか?元は石碑に楔型文字で記されたものであり、幾つかに分
けられていたのですが、現在では復元が行われているようです。初めに見つかった石碑には、洪水の話が語られていました。
これは、世界でも広く知られるノアの方舟の元の話です。ノアを知っている人の方が多そうですね。
 話の大まかな筋は、3分の2は神、余りは人間の暴君ギルガメシュが都市を治めていて、不満な人民はギルガメシュを
作った神に訴えます。神はギルガメシュと同等の力を持つエンキドゥを作り、ギルガメシュに差し向けます。エンキドゥは野に
生き、森を住みかとする獣人で水をカモシカとともに飲みます。もののけ姫のシシガミのイメージと似ています。エンキドゥは
遊び女に諭され、知恵をえて人並みになり、羊飼いの生活を守ります。
 そして、ギルガメシュと戦い、引き分けとなり、親友となるのです。二人は怪物フンババを倒し、天の牛を殺しますが、殺した
罰にエンキドゥは死にます。ギルガメシュと同等のエンキドゥが死んだのですから、ギルガメシュが死なない訳がありません。
そこでギルガメシュは不死を求める旅を始めるのです。不死になる草を手に入れたギルガメシュですが、神々に仕向けられた
蛇に草を食べられ、悲嘆に暮れて物語は幕を閉じるのです。
 これは最古の作品でありながら、不死という人類の永遠のテーマを語る悲劇です。そしてそれがこの作品の最大の特徴では
ないでしょうか?アーサー王と円卓の騎士の聖杯探求にもこの英雄物語に似通ったところがあるそうです。洪水は実際に起こった
ようですが、物語では大いに誇張されているようです。僕は昔の人の考えが滲みでているこの話を、興味深く思います。悲劇である
ことが、一層興味を引き付けているのです。
英雄の悲しみをみるこの作品を是非読むことをおすすめします。


★専門書系★


新編流体の力学 / 中山泰喜著 電子制御工学科5年 2012年3月1
 流体力学の難しさは、色々な現象ごとに式が出てきて、覚えるのが大変なことだと思います。
この流体力学の本は図を多く使って現象を説明し、それに対応させるように式が出てくるので、
現象を想像しやすく現象と式のつながりが学べます。
 内容は普通の流体力学の教科書で出てくる水力学や流量の測定、理想流体の流れだけでなく、
圧縮性流体の流れや数値流体力学、流れの可視化まで幅広く載っているので、わからないことをサッと調べるのにも便利です。

はじめてのParaView : 高度なグラフやアニメーションを描くオープンソース・ソフト / 林真著 電子制御工学科5年 2012年3月1
 ParaViewはデータをグラフやアニメーションの形で可視化するオープンソースのソフトウェアです。
そうした意味では敷居は低いのですが、いかんせんオープンソースのソフトウェアは操作体系が玄人志向であることがままあります。
この本はParaViewの操作法を日本語で解説してくれる珍しい本です。
現時点ではあまり普及していないソフトウェアではありますが、流体の数値計算を図表化する際に検討してみるのも悪くないと思います

これからはじめるWebデザインの本 / ロクナナワークショップ著 制御情報工学科2年 2012年216日
「Webデザインの本」はこれからWeb関係をやっていこうと思っている人向けの、導入本です。
HTMLやCSSについてや、Webサーバーのことなどについて様々なことについて浅く深く書いてあります。
イラストなども多く、初心者でもわかりやすくなっています。
この本を読んだ後は、同社の「デザインの学校」シリーズを読むことをお勧めします。

科学アカデミーと「有用な科学」 : フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ / 隠岐さや香著 電気電子工学科4年 2012年21
十八世紀の科学を、フランスや、イギリスの科学アカデミーという立場から詳しく解説した、歴史の専門書です。
現代における科学の「有用性」とは一線を画した、当時の科学の「有用性」が具体的な例と共に時系列順に解説されています。
特に科学の確実性を論ずる上での確率論は、現在にも通ずる物があり、一読の価値があります。

これならわかる二次元NMR / 福士江里, 宗宮創著 物質工学科5年 2011年1214
購入のきっかけは2次元NMRを主として解説する本が少なく、一冊そのような本が欲しかった為。

本書のよいところははじめて2次元NMRを使用する人にもわかるように書かれている(但し、NMR基礎知識は必須)。
また、コラムなどにより親しみやすいように工夫されているのも特徴といえると思う。 
最後の辺りで演習問題や本書で足らない部分を補う為にどの書籍がよいかなど次の勉強に繋がり易いのも本書のよいところである。

LabVIEW画像計測入門 / 橋本岳, 山本茂広, 浦島智著 電子制御工学科5年 2011年1115
LabVIEWは グラフィック型言語によってプログラミングすることのできる開発環境であり、主に計測・制御等に用いられています。
また、電子制御工学科 の
4年次の工学実験にも取り扱われています。この本はLabVIEWを 用いた画像処理について、細かく書かれており、
プログラム等も掲載されています。プログラム等が苦手な人にとってもグラフィックなプログ ラミングであることから、
非常に理解しやすいと思います。
卒業研究・工学実験などで画像・動画から定量的な情報が取得したいときに非常に 役に立つと思うので是非読んでみてください。(242文字)

号技術入門 : 秘密の国のアリス / 結城浩著 電子制御工学科5年 2011年1010
 皆さんはインターネットを介して取引をしたことがありますか。
もし経験があるなら、その時にきっと「不特定多数の他人に知られたくない情報」を扱ったことでしょう。
例えばクレジットカードの番号、住所、電話番号などが挙げられます。
この本では、盗聴してそれらの情報を盗み取ることができるインターネット上で、
それらを安全に受け渡す方法である暗号などについて書かれています。
内容は、暗号の概要・歴史から始まり、現代使われている暗号技術(AES,RSAなど)、
認証技術(ハッシュ関数,電子証明書など)、周辺・応用技術(乱数,鍵,SSL/TLS,PGPなど)です。
授業で習うものと比較してかなり深いところ(RSA公開鍵暗号,Diffie-Hellman鍵交換の簡単な原理など)まで踏み込みますが、
わかりやすく書かれているので十分理解できます。非常に面白い本だと思います。
現象学ことはじめ : 日常に目覚めること / 山口一郎著 機械工学科2年 2011年913
 現象学について知りたいと思った為、リクエストしました。
 日本には西田幾太郎という哲学者がいて、その人から現象学が広まりました。元々カントという哲学者の研究が行われていた為、現象学が広まりやすかったと言います。そこで、日本には現象学について書かれた本や、その祖であるフッサールの訳書が多いです。本書もその一つと言えるでしょう。
 この本は簡単に、解りやすい様に書かれています。然し、現象学について知りたいと思った人は、竹田青嗣という人が書いた本を読むといいと思います。本書も竹田青嗣の後だと、より解りやすいです。
 こういった本を読むと、難解な事で有名なフッサールの書も理解し易くなると思います。自分は、主観的認識と対象の一致の保証は無い。そして、科学の威力は凄まじい。理解したという確証は無い。然し、言葉は流通し、科学理論は健全である。といった事態について知りたいと思っていました。その参考になる様な本でした。
フッサール : 起源への哲学 / 斎藤慶典著 機械工学科2年 2011年913
 この本をリクエストしたのは、現象学について知りたいと思ったからです。
 現象学は哲学の一分野で、難しい事が知られています。その為、理解する手掛かりとなる書は多く出ていて、これもその一つです。然し、解りにくい事、難しい所も多かったです。読者にもその度合いはよりますが。本書は著者の考えが述べられてもいます。
 著者は世界が現象しなくてもよかったのではないか、という問いに挑んでいます。又、デリダ(現象学から派生したポスト構造主義という考え方の代表的哲学者)についても本を出しています。然し、本書ではデリダも批判してます。然し、著者がデリダに負う所は少なくないと思います。現象学について知りたいと思っている人には一読をお薦めします。数学好きな人にもです。本書冒頭では、恐らくとっつき易いように、フッサールが鈍重だと表現されていますが、数学の天才で、その分析力の高さには、驚嘆すべきものがあります。
Characterization and design of zeolite catalysts : solid acidity, shape selectivity and loading properties / Miki Niwa, Naonobu Katada, Kazu Okumura 物質工学科5年 2011年7月19
 この本をリクエストした理由は卒業研究でゼオライトを扱うからである。英語で書かれているが、物質工学科で4年生までに学んだ総合英語や科学英語の知識があればだいたい読める。
 内容は固体酸などのゼオライトの特徴や過去現在でどのようにゼオライトが使われているのか、各ゼオライトがどのように違うのかなどを実験のデータを含め、詳しく解説している。
今まで講義でゼオライトのことについて習ってこなかったので、とても役に立った。今年度卒業研究をやっている間はこの本のお世話になると思う。
 ゼオライトに興味をもち、どのように知識を得ればいいか迷った時はこの本を読むことをお勧めする。
Prototyping lab : 「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ / 小林茂著 制御情報工学科2年 2011年6月16
 この本はArduinoというマイコンを用いた電子工作について書いてあります。
Arduinoは比較的簡単なマイコンなので、初めての人にはおススメです。
内容は主にそれぞれの項目が「レシピ」となっています。
作品を作るために必要なレシピをピックアップして組み立てるというニュアンスです。
また、レシピは入力、出力、データ処理などと分類してあるので分かり易いです。
しかしこの本では本格的な回路を組んで行うということがなく、
センサ単体でモータだけでなどばかりなので注意が必要です。
やりたいことの解決法が見つからない場合ぜひ読んでみてください。
スバラシク実力がつくと評判の常微分方程式キャンパス・ゼミ : 大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる! / 馬場敬之, 久池井茂著 機械工学科5年 2011年5月30
 常微分方程式は、工学でも多く使用するため、大学編入でも多く出題されます。しかし、正直なところ学校の教科書だけでは理解しづらいだけでなく、範囲も狭く、編入勉強を網羅すことはできません。そこで紹介したい一冊が、マセマ 常微分方程式。高い評判のマセマだけにとても分かりやすく、ベルヌーイ、リッカチ、完全微分形、微分演算子…を丁寧に教えてくれます。編入以外にも、授業の理解を深めるためにも使える良書です。
スバラシク実力がつくと評判の複素関数キャンパス・ゼミ : 大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる! / 馬場敬之, 高杉豊著 機械工学科5年 2011年5月30
 マセマ出版の良いところは、公式の証明を丁寧に行ってくれていて身に付きが良いということです。そのため,主要大学での売上が一番良いだけでなく(生活協同連合東京事業連合調べ)編入のアドバイスを行っているインターネットサイトも評判になっています。
複素関数は4学年で行いますが、担当の先生の意向によってはベクトル解析の講義をする先生もいます。私はベクトル解析とフーリエ変換でした。しかし、私の編入希望大学では複素関数が出題されます。(有名大学では多く出題されます)そのため、私はこの本を頼りに基礎を学んでいきたいと思います。きっと一度手に取ったら、全シリーズを読みたくなるはずです。
はじめて出会う心理学 / 長谷川寿一 [ほか] 著 物質工学科2年 2011年45
 この本は、心理学の入門書として書かれており本格的な心理学を基礎から体系的にしっかりとみにつけることができるようになっています。
高専生だから心理学などは関係ないという風に考える人も多いかとは思いますが、脳の機能を調べたりするのも心理学の一つの分野であり、人工知能なども心理学とつながります。一つの分野に特化するということは素晴らしいことではありますが、様々な分野のことを広く知ることができれば自分の専門への見識ももっと深まると思います。ぜひ一度手に取って読んでみてください。
ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術/ 平山尚著 機械工学科4年 2011年127
 プログラミングという技術を、現役ゲームプログラマがゲーム開発という視点で解説した一冊。作者は現役のゲームプログラマなので、解説がゲーム開発に直結するようになっています。なので、授業で教わるようなプログラミングとは全く違った技術を学ぶことができます。
 内容はC++で書かれており、調べながら読み進める必要があります。ですが、解説の文章は作者の人間味に溢れ、まるで隣で教えてもらっているような気になります。また、ゲーム開発において技術者は何を考えて行動しているのか、という部分にも触れているので、参考になります。
 850ページほどもあり、これだけでも読むのが大変です。しかし、それに見合った内容となっており、基本的な技術ならこれ一冊でも学ぶことができると思います。現役プログラマが解説している貴重な本ですので、ゲームプログラミングに興味のある方はおすすめの一冊です。
詳細OpenCV : コンピュータビジョンライブラリを使った画像処理・認識/Gary Bradski, Adrian Kaehler著 電子制御工学科4年 2010年930
 現在OpenCV(コンピュータビジョンライブラリ)はさまざまな分野で使われている。この学校のD科の授業でも数字認識を行う目的でMIRSに使用されている。
この本はそのライブラリの開発者が書いた本の邦訳版であり、内容も充実している。関数や構造体の説明・解説だけでなく、画像処理のアルゴリズムの解説もある。難しいがレファレンスとしても使えるので、OpenCVに触る機会があるなら読んでみた方がよいと思う。
なお、OpneCV1.0を対象としているので、その点は留意した方がよいかもしれない。
細胞の分子生物学 / Bruce Alberts [ほか] 著 物質工学科4年 2010年75
 分子生物学はその学習範囲が非常に広い。そのため、分子生物学の内容を分野ごとに分けて本にしたもの、あるいは、ある程度内容を簡単にして、余計なところを省いてしまったものが多かった。しかし、『THE CELL 細胞の分子生物学 第5版』では分子生物学の学習範囲を広く、かつ事細かに記されている。そのため、授業で学んだことをさらに深く学習したい学生にはもってこいの本である。
 この本にはCDが附属されている。CDの中には生体内で起こっていることの動画や実際にこの本で使われている画像が収録されている。これによって、よりわかりやすい内容となっている。収録されている画像を自分のノートに貼り付けることで、よりわかりやすい自作ノートを作ることができて非常に便利である。


Zabbix総合監視「実践」入門 / 寺島広大著  電子制御工学科 4年 2010年614

 この本はタイトルの通り、ZABBIXというソフトウェアに関するものである。
ZABBIXは機器の監視などを目的として作られており、中規模〜大規模のシステムで用いられるソフトである。具体的な動作例として、ある機器が応答を
返さなくなったことを検知すると、登録してあるメールアドレスにメールを送る、コマンドを送り正常な状態に復帰させようとするなどが挙げられる。
この本には、CentOS上でyumを用いてインストール・アップグレードを行う方法や、ZABBIX内部での処理ルーチン、具体的な設定方法などが述べられている。
特に、BINDやMySQLの監視手法などとして具体的な例を挙げており、監視を行う上で必要となる知識なども盛り込まれている。また、スクリプトのリファレンスもある

さらに、ZABBIX-JP(http://www.zabbix.jp/)のDocumentsのリンクに正誤表が掲載されており、改善の要望なども出せるようになっている。
興味がある方は、この本を片手にいろいろ試してみてはいかがだろうか。



トコトンやさしいプラスチックの本 / 本山卓彦,平山順一共著   物質工学科 4年 2010年610

 主にC科生の方へ、「トコトンやさしいプラスチックの本」をお勧めします。この本は、見開き1ページでさまざまな分野で使用されているプラスチックについて、図解を交えて紹介しています。
とてもわかりやすく、かつ身近な内容が多いため、C科生以外の方でも楽しんで読めると思います。

転写因子・転写制御キーワードブック 物質工学科4年 2010年222
 物質工学科で分子生物学を学ぶときや,生物コースの実験のときに利用できる本です.特に,転写の機構を学ぶ上でとても役に立ちます.かなり専門的な内容が書いてありますが,転写について学ぶときは辞書のように使うととても便利だと思います.4年生の分子生物学の講義のうち,転写について学ぶことがあるので,そのときに持っていると転写についての理解が深まります.難しい内容も書いてありますが,転写についてはほとんど全てを網羅しているので,この本があれば完璧でしょう.英語や別名でもしっかりと解説してあるのでこれを使っていて困ることはないと思います.
PICで楽しむネットワーク:接続機器の自作 電子制御工学科1年 2010年125

この本では基本的に、PIC24Hの使い方について書いてあります。PICを使うのにある程度慣れた人が読むとわかりやすいと思います。どうやってプログラムを書き込むのかわからなくても、PICライターの紹介から入っているのでとても親切でわかりやすいです。また使い方などがわからなくても汎用機器の製作を通してさまざまなことが学べます。プログラムの応用例として「インターネットラジオ」などがあり、作ってみると活用できる機器が多く載っています。わかりやすい本なのでぜひ読んでください。

数学する遺伝子 機械工学科1年 2010年1月8

数学する能力は言語を使いこなす能力と同じである、という仮説から始まる。序盤をこれを検討し、中盤は数学の本当の姿を検討し、終盤は数学的思考を用いて応用する、つまりパロディー化する。数学と論理学の基底が同じであるということは昔証明された。そして、音楽と数学は似ており、脳の使う部分は同じであり、脳の働くパターンも類似する。そして、普段の会話は音楽としても脳に認識される。論理と数学の思考は左脳を使う。言語も同じである。とりもなおさず言語と思考は論理的である。昔、会話しながらフラッシュ暗算する人が左脳で計算して右脳で会話等と言っていたが嘘である。数学は幾何学的やモデル化といった作業から右脳も使う。言葉を脳内で視覚化する数学者もいる。そして、絶対音感を持つ人は全ての音のパターンを音階として聞き、視覚化して見る。視えるから間違わない。連関しているのである。
これらの集大成とでもいうべき詩作はエドガーアランポーが得意とするところである。彼は推理が得意である。推理の能力は皆持っている。ただ、数学という抽象的思考でそれができない。
 一万角形と千角形で違いはイメージしにくい。だが、言葉の上では分かる。抽象的思考である。数学でも音楽でも記号を使う。これで分かりやすくなる。 ただ、数学者は記号を使わなくてもいいらしい。計算や数を使わないらしい。もっと抽象的な思考にはいるらしい。それは変性意識状態という精神の特別な具合、早口で話していればなるが、集中力を必要とするらしい。筆者は数学をパターンの科学という。これは何でもいいので、猫の柄のパターンやデザインのパターンも数学である。暗号解読も数学である。この世の根底には工学ではなく数学が潜んでいる。パターンを調べるには推理がいる。
そんな話をこの本はしてくれる。
寧ろこの本は文学青年が読めば素晴らしい効果を発揮すると思った。

キミもトライだ物理探査 機械工学科 5 2009年1224

今回ブックハンティングを利用して購入していただいたこの本は、「物理探査」を通してさまざまな電子部品の扱い方を知ることができる。私がこの本を薦めたいのは機械科の学生である。というのも、機械科の人は趣味が興じるかロボコン部に所属していなければ、電子部品を扱う機会を持つことが非常に難しいからである。社会的には機械に特化した人材ではなく、電気やプログラムを包括する総合的知識を有する人材が欲されている。この本は、電子部品の扱いを知った人から見れば前提知識であるきわめて重要なことから、イラストや写真を多用して解説されている。研究内容や、個人的にそのような知識が必要になったときに、ぜひこの本からはじめてみてほしい。

Duo 3.0 物質工学科4年 2009年1124

自分はこれを別売りのDUO3.0のテキストと併用して使っていました。このCD5枚組になっていてDUO3.0のテキストの例文,見出し語,意味を発音してくれます。他の単語帳のCDとの違いは,まず最初に日本語で意味が流れ,その後に例文,見出し語,例文といった順番になっていることです。始めに意味が流れるので自然と聞いて意味が捉えられるようになると思います。また,例文の内容が面白いので楽しみながら勉強できると思います。

NetCommons (ネットコモンズ) で本格ウェブサイト 電子制御4年 2009年1119

Webページを作ってみたいがhtmlに詳しくない。そんなときにCMS(コンテンツマネジメントシステム)が役に立つ。そんなCMSの内、日本で開発がされているNetcommonsの公式マニュアルである。手順も写真が多く入っておりとてもわかりやすい。操作の方法だけでなく、Webページを構築・維持するうえで必要なことは何かといった内容に2章程を当てている。そのため、CMSを使わないで行う場合にも参考になると思う。そのような進路を考えているならば、読んでみると面白いと思う。

CentOSサーバー : CentOS 5対応 電子制御4年 2009年1119
この本ではタイトルの通り、自分でサーバーを立てるのに必要な知識が一通りそろうと思う。具体的な内容としては、DNS、メール、Webなどの各サービスを立てるのに必要な設定とサーバー自体やネットワークに関する必要な知識が掲載されている。ただし、すべてコマンドラインで設定ファイルを直接書きかえる方法が採られているため、ある程度慣れが必要だと思う。また、ネットワークに関してもかなり書かれていて、理解できればそこそこの知識を得られる。授業などで興味を持ち、さらに深い部分に踏み込んでみたい人には刺激になると思われる。